MTAセメント
虫歯は症状がないまま進行してしまうことがあります
虫歯が深くなって神経にまで達している場合、治療の一つとして神経を取るという処置が必要になります。
症状のない虫歯は、進行していることがあります。
「歯の溝から小さいむし歯になっていました。治療すると歯の中でむし歯が広がっていました。」というケース状態になっていることがあります。


歯の神経を取ると…
- 歯がもろくなる。(枯れてくる)
- 最初に気づきにくい為、結果的に抜歯になってしまう。
- 大きく削る為、歯の強度が弱くなる。
- 免疫力(抵抗力)がなくなる為、虫歯や歯周病になりやすい。
などが原因で、歯の寿命が短くなる可能性が高くなってしまいます。
ご自身の歯を末長く残すには、できるかぎり神経を取り除かないことが大切です。
MTAセメントを使用した治療が注目されています
そこで近年注目されているのがMTAセメント
を使用した歯の神経保存治療です。

虫歯を完全に取り切った後、歯髄の層の表面にMTAセメントで蓋をして、最終的にきれいな被せ物を行って治療終了となります。

神経治療を回避できることで、歯の治療サイクルを長くできる可能性が高くなります。


神経を取ると、歯がもろくなることで割れたりしないよう歯をたくさん削り、被せ物をします。

神経を残せることで、歯の丈夫さを保てるため、歯をたくさん削らず修復することができます。
MTAセメントのメリット
水、組織液などで濡れている状態でも硬化する
口の中は水分、組織液、血液などで湿った状態です。
他のセメントは、通常湿った状態だと固くならなかったり、接着力が低下したりしますが、MTAセメントは濡れている状態でも硬化します。
強い殺菌作用を持っている
MTAセメントは強アルカリ性(PH12)で、強い殺菌作用を持っています。通常ほとんどの細菌はPH9.5で破壊されます。
生体親和性が高い
MTAセメントは体の中に入れても悪い影響の少ない、体に優しい素材です。
セメントが硬化するときに膨張する
MTAセメントは硬化するときに膨張します。そのため、より緊密に患部を封鎖することが可能になります。
良質なデンチンブリッジ(保護層)が形成される
MTAセメントを使用すると良質なデンチンブリッジ(保護層)が形成されます。それによって患部に細菌が入り込むのを食い止める効果も期待できます。
MTAセメントのデメリット
- 変色する場合があります。
- 非常に高価です。1グラムあたりが金よりも高価になります。
- 保険適用外となります。
- 根管内に入れた場合、固いので除去が困難になります。
- 扱い方が少し難しく、操作性が悪くなります。
- 全ての症状において使用できるわけではありません。
歯の生活反応がない場合は歯の神経を取る必要があります。
当院の考え
歯の神経を除去する治療では、「神経」と一緒に「血管」も取り除いていきます。
つまり一度神経を除去してしまうと、今後その歯には生きるために必要な酸素や栄養が届かなくなってしまいます。
そうすると、歯は枯れ木のように弱り、やがてその寿命を終えてしまいます。
歯の状態や症状によっては、神経を取る治療が必要なケースもあります。しかし安易に神経を取り、歯の寿命を短くしてしまうことだけは絶対に避けなければなりません。
このような考えから、当院では”すぐに神経を取る”のではなく、可能な限り「神経を残す治療」を最優先に行ってまいります。